PCT出願ってなに?出願形式は何が違うの?

特許実務
この記事は約3分で読めます。

特許出願には大きく分けて4つあります。日本国特許庁への国内出願、日本国特許庁へのPCT出願、外国代理人を通じて行う外国特許庁へのPCT出願、外国代理人を通じて行う外国特許庁への直接出願です。それぞれどう違うのでしょうか?今回は国内出願と、PCT出願についてご説明します!!

スポンサーリンク

日本国特許庁への国内出願って?PCT出願って?

日本国内の企業であれば大抵の場合、まず日本国特許庁への国内出願又はPCT出願を行います。

でも、日本で特許権を取得したいのだから国内出願をするのはわかるけど、PCT出願って何のためにするの??

そのような疑問にお答えします。

まず、PCT出願について

PCT出願とは、PCT(特許協力条約)に基づく国際出願です。
国際的な取り決めによって出願が行われますので、様々なメリットがあります。
面倒な外国出願も国内出願と一つにまとめて出願できます。

PCT出願のメリットは?

PCT出願は『みなし全指定』といって、PCTに加盟している全部の国を一つの出願で行うことができます。そのため、出願時に各国にそれぞれ出願するという手間を省くことができます

しかも、日本語で国際出願することもできるんです後々各国の言語に翻訳する必要はありますが)。さらに、PCT出願を利用しない場合は各国にそれぞれ提出することが必要な書面(例えば、優先権証明書)であっても、PCT出願なら1回の提出で済みます。

またPCT出願は、日本国特許庁(等)に出願してから30月も各国に移行するまでの猶予期間があります。2年半ですね。出願日を確保しつつ、国内移行までにかなりの期間があるため、本当に必要な国のみを選択することが可能になり、個別に各国に国際出願する場合と比較して、『時間的なメリット』が大きいです

また、個別に各国に国際出願する場合、外国代理人の費用はべらぼうに高いです。日本の弁理士の倍以上するんではないかってくらいだったりします。つまり、個別に各国に国際出願する場合は、国ごとの外国代理人にべらぼうに高い費用を支払わなければ出願日を確保できませんが、PCT出願の場合はとりあえず日本国特許庁に出願しておくことで、そのべらぼうに高い費用を支払うかどうか一旦再考する期間を得ることができ、企業の事業運営上の利点になると考えられます。

PCT出願のデメリットは?

もちろん、PCT出願をする場合のデメリットもあります。
一様には言えませんが、3か国以内の出願であれば、PCT出願をしたほうが費用が高くつく場合があります。PCT出願手数料が通常の日本出願よりも高いためです。

参考までに、出願段階でかかる費用は、
・国際出願手数料:154,000円
・送付手数料:10,000円(1国あたり)
・調査手数料(日本国特許庁):70,000円(日本語出願の場合)
  又は
 調査手数料(日本国特許庁):156,000円(英語出願の場合)
がかかります。
※ちなみにPCT出願ではない日本国内出願費用は、14,000円のみです。
だいぶ出願手数料が違いますよね??

このあと、各国で(審査請求費用)、拒絶理由対応費用、設定登録料等が各国でかかってきます。もちろん明細書の中身や拒絶理由などにもよりますが、その後は日本だと20~50万くらいかかるでしょうか。米国は100万、欧州は200万円程度かかるでしょうか。なんとなくそのくらいのイメージです。

PCT出願であっても、実際に各国に移行する段階ではそれなりに費用がかかります。

スポンサーリンク

PCTの出願形式って、国内の出願形式とどう違うの?

ほぼ同じです。少なくとも、明細書の中身はそこまで書き分ける必要はないと思います。
強いて言えば、請求項の記載を各国の法制度に適合させやすいように、言葉を変えたり、補っておくことが考えられます。

もちろん、願書は別物ですし、『特許請求の範囲』を『請求の範囲』にするなどの変更はあります。大した差ではないので、特許庁のひな型をご覧ください。

今後実務的な内容もさらに踏み込んで解説していきます!!海外の法制度などあまり詳しいサイトなどありませんから、困りますよね。

コメント