弁理士の転職と志望動機

弁理士
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特許業界に興味がある人であれば、誰しも一度は転職について考えたことがあるのではないでしょうか。

研究職が向いていないなと感じたとき、弁理士に興味が出たとき、弁理士試験(短答、論文、最終)に合格したとき、弁理士登録をしたとき、弁理士として働き始めて1年、3年、5年になったときなどには、特に転職を強く意識する時期かと思います。

『転職したほうが良いんだろう?』
『特許事務所と一般企業のどちらに転職したほうが良いんだろう?』
『志望動機には何を記載したら良いんだろう?』
など、弁理士の道を選択した人であれば、考えることだと思います。

弁理士業界の転職事情について詳しく解説していきますね!

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弁理士の転職先

弁理士の転職先は、大きく分けて次の3つです。

  1. 特許事務所へ!
  2. 一般企業へ!
  3. 独立開業して個人事務所へ!(レアケースですが)

それぞれの転職先のメリット・デメリットについて気になる人もいますよね?紹介していきます。

特許事務所への転職

特許事務所は、大手の事務所から小規模事務所まで様々です。
分野も機械、電気、化学、バイオ、商標、意匠など様々です。
今回はその中でも、大手の特許事務所について焦点をあてて説明していきます!

特許事務所へ転職するメリット

大手事務所ほど教育体制が整備されているのは間違いありません。
大手特許事務所が教育体制整備されている理由
 ・同時期に採用した人材は、まとめて教育しなければ知識量に差ができる。
 ・同時期に採用した人たちの教育に失敗してしまえば、宝(人財)の持ち腐れとなってしまう。
 ・大手事務所側も、まとめて教育したほうが時間節約できる。
 ・そして、特許事務所が恐れているのは転職したての新人の即離職。新人ほど再転職に対する意欲が高いですので、教育しっかりやるところが多いです。
知名度が高い大手事務所ほど、噂が業界に広まりやすいです。
ですので、新入社員に即座に離職されて悪評を流されることほど怖いことは無いです。
とすれば必然的に大手事務所ほど教育の質が高まるというのはわかりますよね。
 
ここ最近の弁理士試験最終合格者数は、
2019年度は284人
2018年度は260人
2017年度は255人
2016年度は296人
というようにだいぶ少ないです。
若手の弁理士の確保こそが、各特許事務所の命運を分けるといっても過言ではありません。
実際、各特許事務所で若い人財探しに躍起になっていて、若手を育てて離さないような環境づくりを進めています。
 
このような若い人財確保のための行動を起こせるのは、人財が揃っている大手特許事務所が中心です。
そうでないと、新人教育担当者自身も教育時間も十分に確保できないですよね。
そのため、大手の事務所ほど教育に関しては手厚いというのは容易に想像できるはずです。
ということは、教育を求めるのであれば大手事務所を探したほうが良いでしょう。

特許事務所へ転職するデメリットについて

特許事務所には特に優秀なライバルが多いため、自分自身努力しなければ、その中に埋もれてしまうことが考えられるでしょう。
また、大手特許事務所であれば、過去からの縁で大企業相手の大口の仕事ができるのですが、一方で、その大企業の経営状態によって左右されやすい(売り上げの影響が出やすい)というのもあるでしょう。
研究開発にかけるお金は、各社でほぼほぼ減少しています。
かつてのように『取り合えず特許取っておけ』と、ドカドカ特許が生み出される時代ではなく、厳選された本当に有意義な特許のみが求められる時代になっています。今後もこの傾向は強まるでしょうし、研究開発費が今後急増するなんてことは考えられません。
特許事務所だからこそというわけではないかもしれませんが、自分磨きは常に要求されます。

特許事務所への転職の志望動機

特許事務所へ転職する際の志望動機の一例です。ご参考まで。

  • 特許事務所で自分自身の能力を最大限発揮したい!
  • 自分のスキルがどこまで通用するかチャレンジしたい!そして成長します!
  • とにかく新しい技術が好きで、色々な企業の発明に触れたい!
  • 特許に興味がある。自分の手で色々な企業の様々な権利を生み出したい!
  • 企業のように社内の枠組みにとらわれず、広く活躍したい!
  • ある技術分野のプロフェッショナルになりたい!

特許事務所への転職は、ぶっちゃけ学歴(修士or博士)と採用試験結果(筆記試験や英語試験)、面接での熱意(あとは冷静な対応ができること)だけで通ります。

↓特許事務所への転職の参考にしてください。知財を扱っている転職サイト比較です!

知財業界未経験の人が特許事務所に転職する方法!仕事が合わなければ転職すればいいだけ!
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企業への転職

新人所員である期間は特許事務所に在籍していてもなかなか給料が上がりにくいです。
給料が上がらなければ、普通転職考えますよね。
私の事務所でも3~5年の経験者で転職する人が一定割合でいます。
転職する理由は次のようなものでしょう。
  • 年収に満足していない(経験がないと仕事がスムーズにできないのである程度は仕方ないですが・・・)
  • 仕事内容に満足していない(仕事に関して上司とバチバチやる人も時々いるようです)
  • ワークライフバランスに満足していない(年収を上げようとすればバランスが崩れがちになります)

それらの転職理由が絶対に耐えられないという人は、企業の知財部に行くことがおすすめです。

企業のメリット

  • 年収に関して・・・企業であれば、収入は完全な年功序列ではないにせよ、ある程度年功序列であるのが一般的です。特許事務所で、数年間鳴かず飛ばず状態の人なら、年収アップが見込めます。
  • 仕事に関して・・・企業知財部であれば、良い方悪いですが、最悪逃げが効きます。社内での異動希望を出せば済むので、特許事務所よりは将来的な転職リスクは低めでしょう。
  • ワークライフバランスに関して・・・特許事務所であれば、実力主義で明細書等を根詰めて書かなければなりません。一方、企業であれば、根詰め作業が間に合わない、難しければ、特許事務所に案件を投げることができるため、ここでもある程度逃げが効くでしょう。また、プラスの理由であれば、企業内に様々な福利厚生があったり、他部署の人と交流する機会研修の機会など、特許事務所よりも社内の雰囲気はよいということが考えられます。

企業のデメリットについて

企業の場合、周りの人のレベルが低い場合がある、という懸念があります。
周りに仕事に対するモチベーションが低い人がいると、自分自身の仕事に対するモチベーションも低くなりがちですから、自信が成長しにくいという点が考えられます。
企業には一定の割合でいますよね、仕事をしないでフラフラしている人が。
また、仕事ができない人、無能な上司が大勢いますよね。
そんな状況にストレスや理不尽を感じやすい人は企業に行っても満足は出来ないのではないでしょうか。
(ちなみに私自身は、そういった企業の性質に合わないと感じ、特許事務所を選んだタイプです)
一方で、特許事務所の場合はレベルの低い人を探す方が難しいでしょう。
周りのレベルが高いですので、自分自身のレベルも必然的に引き上げられます。
こういった点を考えると、企業に在籍している場合、将来的な自分へのトータルリターンは低くなるかもしれません。

企業への転職の志望動機

企業への転職の志望動機サンプルです。参考までに。

  • 1つの発明に最初から最後まで関わりたい!
  • 一企業の知財戦略を販売戦略と絡めて扱っていきたい!
  • ライセンス活動等を行ってみたい!
  • 紛争解決に携わってみたい!
  • 安定を求めたい!

最後の『安定を求めたい』は、心で思っていても絶対に面接では言ってはいけませんよ。馬鹿にされます。

個人事務所(独立)

特許事務所の勤務弁理士である私にとっては、未知の世界です。

いつかは起業するかもしれませんし、今の特許事務所で上を目指すかもしれません。

個人事務所のメリット

  • 自分の自由にできる(社内規則に縛られない自由な生き方ができる)
  • 収入がズバ抜ける可能性がある(数千万円レベルになれる可能性も!)

個人事務所のデメリット

  • やったことが全部、自分の責任になる(勤務弁理士でも責任はもちろんありますが)
  • 倒産のリスクがある。
  • 収入がゼロになる可能性がある。

個人事務所への転職の志望動機

ここは記載しなくてもよいかと思いましたが、こんな理由で独立考える人が多いんですかね?

  • 1人ですべて自由に行いたい。
  • 自分の実力と人脈に自信がある。今以上の収入になる!
  • 周りとの摩擦がストレスになる。

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転職には、特許事務所、企業、独立の三択がありますが、それぞれのメリット・デメリットがお分かりいただけましたか?
ここに記載していないものでもメリット・デメリットはたくさんあると思います。自分なりに考えてみてください!そして、自分のたった一度の人生、自分の思うように自由に生きてみてください!

 

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